会期 2019年5月11日㈯、12日㈰
会場 11日㈯ 野沢温泉スパリーナ
12日㈰ JA 長野野沢温泉支所(農協会館)
学会長 柳本 有二(神戸常盤大学教授)
学会大会長 内場 廉(長野市国民健康保険大岡診療所所長)
学会大会事務局長 諏訪 直人(健康運動支援研究所 代表)
学会大会事務局 第23回日本ウォーキング学会長野大会 実行委員会
あ
1)講演の様子
内場廉大会長講演は「高齢者のウォーキングについての考察」ポールを持つだけで人の深部知覚が働き、安定性が向上するという発表。続けて、特別講演Ⅰ東京大学の中澤公孝先生は「水中ポールウォーキング」を使ったウォーキングによる麻痺患者への歩行改善の可能性を発表いただきました。お二人ともポールを使う事による神経反応からの歩行の安定や改善に至るというとても有意義な発表でした。
また、静岡理工科大学の富田寿人先生による特別講演Ⅱ「子どもの身体活動量を上げるには」、神戸常盤大学の柳本有二先生による特別講演Ⅲ「『歩』くとは、『止』まるのを『少』なくする事」と題し視覚障碍のある方のノルディックウォーキングのサポート研究を発表いただききました。今回は一般公開講座としての参加者も多く、健常者、子供から高齢者、そして障碍のある方を対象とした幅広い世代に渡る講演が聴けたことで、聴講者も興味を持ってお話しを聞いていただき、満足してお帰りになられた様子でした。このようなきっかけからもっと多くの方たちがウォーキング学会に興味を持って頂く事が出来ればと思います。
2)パネルディスカッションの様子
ご後援頂いた長野県による健康プロジェクト事業「働き盛り世代の「健康づくりチャレンジ大作戦」グランプリ2018」取り組み内容は、3人 一組で行う歩数と体重を計測するものでした。長野県内の事業所がおよそ300社、参加人数およそ3000名が参加した事業で、表彰された6事業所(2事業所は代読)に取り組みとその後について発表していただきました。
発表の中で、2018年度ウォーキング大賞1位を受賞された、エムケー精工株式会社代表取締役社長丸山将一様からの言葉で「ただやるだけでなく、経営者の理解と覚悟が良い結果に繋がる」という言葉が印象的でした。
現代の大きな課題となる働き盛り世代の健康に焦点を当てた事業であり、表彰事業所の今後が気になる所です。ウォーキングが健康づくりを行う中で最も容易に取り組めるものとして受け入れられていることも実感しました。このような事業から多くの働き盛り世代のウォーキング活動の活性化を当学会としてもサポート出来るよう検討していきたい所存です。
3)一般口述発表の様子
今回は一般公開講座として開催することで地元の方々にも多く参加していただきました。一般口述発表Ⅰ5演題(座長:東海学園大学 森悟 教授)、一般口述発表Ⅱ5演題(座長:奈良教育大学 高木祐介 准教授)、一般口述発表Ⅲ6演題(座長:静岡大学 祝原豊 准教授)の計16演題の発表が行わ
れました。今回のテーマである「ウォーキングから始める地域づくりへの挑戦」から、多くの地域実践報告が発表され、時代背景による課題が浮き彫りとなり今後の対応と、そのヒントを確認する事が出来ました。他、運動生理学的内容に加え、企業への運動促進研究、近年注目される登山での山行による身体機能への影響などの発表も多く、あらためてウォーキングを基盤として多くのカテゴリテーマを広げた研究に関する知見を深める機会となりました。
4)ポスター発表の様子
今回、フリーディスカッション(自由討論)形式で行われたポスター発表は9演題、運営上の都合で20分間という短時間設定で行われまし
た。
座長なしでの発表は、それぞれのブースでリラックスした雰囲気でディスカッションが出来、一般参加者も傍らで話を聞いて、「学会は
難しいと思っていたが、とても面白く話が聴ける」「いろんなこと研究しているんですね」といった声が聞かれ、有意義な意見交換の場となり、時間を過ぎてもディスカッションが続いていました。
5)シンポジウムの様子
学会2日目は「ウォーキングから始める地域づくり~運営と課題そして今後~」をテーマにシンポジウムを開催しました。( 座長:静岡大学 杉山康司 教授) シンポジストはまず、健康運動支援研究所 代表 諏訪直人、高齢化による地域運動活動の衰退の現状と今後の展開についての課題および提案を発表しました。次に、国際自然環境アウトドア専門学校講師 服部正秋先生、専門学校生徒とノルディックウォーキングイベント運営に際し、地域を巻き込んで、様々な創意工夫を地域と一緒に作り上げる事業から、若い世代を中心に地域を作って行く試みを発表して頂きました。
参加者の皆さんもこのテーマと発表に対し、それぞれの思いがあり短い時間ではありましたが、熱いディスカッションが行われ、内場大会長からもアド
バイスを投げかけて頂き、今後に向けて考えるきっかけとなりました。
6)その他 学会全般に参加/ 運営した感想など
昨年度の下関大会より学会事務局が、静岡大学杉山康司先生を中心として運営が始まり、長野大会事務局と二人三脚での準備となりました。前回の下関大会開催から半年の準備期間で長野大会開催となり、事務局はもちろん発表される研究者/ 先生方にもご負担をおかけする事になってしまいました。それでも今回盛大に開催することができ、有意義な学会大会を成功させることが出来ました。関わっていただいた皆様にお詫びと、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
長野大会事務局では、第14回となる「野沢温泉菜の花パノラママーチ」開催にぶつけての開催および、長野県でも特に有名な「野沢温泉村」に皆さんをお招きしたく、野沢温泉村観光協会の森博美事務局長に多大なるご支援、ご指導をいただきながらの運営となりました。
率直に言って辺鄙な場所、公共交通機関アクセスの不便さ、野沢温泉村に着いてから会場へのアクセス等、参加者個々への連絡や、Youtube 動画アップ等、様々な工夫と実践の御陰でトラブルなく皆様に足を運んでいただく事が出来ました。
野沢温泉村の健康運動指導士富井聖さんの発表にもあった、「不便さの中にある魅力」それに寄り添いながらの生活にウォーキングを活かす。そんなことを感じていただけたら幸いです。
今回は、内場廉大会長の所属する長野市国民健康保険大岡診療所スタッフを中心とした実行委員で運営を行いました。大きな組織でなく、日頃からウォーキング、運動、健康づくり活動を連携して行っている者が集まり、それぞれに準備を進めました。内場廉大会長と事務局長の諏訪以外学会運営は初めて、全員が集まるのは学会当日のみでした。
今回の司会進行は、診療所スタッフの娘さんで、スキー検定1級のスポーツマン現役高校生の長谷川えみさんが買って出てくれました。
受付ほか、準備から運営に関わっていただいた、大岡診療所の長谷川由美さん、酒井美和子さん、サキベジ推進協議会の、小山秀一さん、山本恵美子さん、綿引淳さん、土谷喜夫さん、野沢温泉村の富井聖さん、河野亜紀子さん、河野三枝さん、信州ハムサービスの市川城多さん、運動指導士の依田彰子さん、そして遠方から駆けつけてくれた、有限会社白馬ヤマトヤの松沢正仁さん、白馬観光開発の太田悟さん。他にも多くの皆さんに指導をいた
だきながら運営を進めてまいりました。
日頃は全く別の環境で別の仕事をしている人たちが集まり、皆さんのおかげで無事成功に導かれました。心から感謝と御礼を申し上げます。長野県から全国のウォーキング活動の発展に今後ともお力添えの程どうぞ宜しくお願い致します。
最後に遠方にも関わらず、会場に足を運んでいただいた諮問委員の先生方、そして参加者の皆様方、多々不手際がありましたが何卒ご容赦頂ければ幸いです。
なによりもご来場いただいた皆様のおかげで学会は大成功に終わりました。本当にありがとうございました。
まだ、お目にかかっていない方々との出会い、今後のウォーキングを取りまく地域の発展、日本ウォーキング学会の発展を期待して、来年開催の静岡大会にバトンを渡したいと思います。
文責:日本健康運動指導士会長野県支部理事 健康運動支援研究所 代表 諏訪直人