【第22回日本ウォーキング学会大会大会長開催の挨拶】
『ウォーキングでアンチエイジング』
林 研二(下関リハビリテーション病院 院長)
 平成30年10月13日㈯、下関市(海峡メッセ下関)において第22回日本ウォーキング学会大会を開催いたしました。
 学会大会の翌日(14日)には、「関門海峡しおかぜウォーク」を行い、本州の西の端、九州を目の前に臨む関門海峡、そして九州へ続く関門トンネル人道のウォーキングをお楽しみいただく計画をたてさせていただきました。
 私は回復期リハビリテーション病棟に勤めており、主として高齢者の患者様の様々な傷病の後遺症のリハビリに携わっています。回復期病棟の使命と目標は、患者様の機能障害の回復と身体機能や日常生活動作能力の向上であり、そして自宅退院と社会復帰です。しかし、毎日の診療の中で感じる私共の大きな悩みは、その根底にある高齢者の特質(ロコモ、サルコペニア、フレイル、認知機能低下など)、そして高齢者を取り巻く社会環境(高齢独居、老老介護、社会参加、維持期のリハビリなど)です。
 このような、高齢社会・超高齢社会において、高齢者の皆様の基礎的な筋力、体力、歩行能力を維持・向上し、高齢者特有の体力低下、歩行能力低下、社会からの隔絶を防ぎ、健康寿命の延伸を図ろうとする場合、「いつでも」「どこでも」「誰でも」「手軽に」楽しめる「ウォーキング」の果たす役割は大きいと考えます。事実、リハビリの現場においても、歩行訓練は重要な位置を占めています。「ウォーキング」は学問的にも、またレクリエーションとしても、本当に奥深く興味深い領域と言えます。昨今、「アンチエイジング」という言葉が一世を風靡していますが、「運動」と「アンチエイジング」の関係は明らかです。そこで、本学会のテーマを「ウォーキングでアンチエイジング」としました。そして、市民の皆様にも「ウォーキング」にもっともっと興味を持っていただき、広く楽しんでいただきたいという思いから、専門の先生方のご講演を「市民公開講座」とさせていただきました。こうして学会を開催することができましたのは、これまで、非力な我々を常に辛抱強く暖かくご指導・ご支援して下さいました寄本明学会長はじめ諮問委員の先生方、事務局の皆様、そして演題をご応募いただきました会員の皆様のお蔭であります。心より感謝申し上げます。有難うございました。

第22回日本ウォーキング学会下関大会
テーマ      ウォーキングでアンチエイジング
会期       2018年10月13日㈯、14日㈰ 
会場       海峡メッセ下関 10F国際会議場
学会長      寄本明(京都女子大学教授)
学会大会事務局長 石田 憲司(下関リハビリテーション病院 事務長)
学会大会事務局  第22回日本ウォーキング学会下関大会 実行委員会

1)講演の様子
 第22回大会の大会長講演は、「ウォーキングでアンチエイジング」、特別講演Ⅰは、「ウォーキングによる健康寿命の延伸およびアンチエージング」、特別講演Ⅱは「身体が心が嬉しくなるウォーキング」と、超高齢社会に対応するツールとしてウォーキングの有用性について語っていただきました。また基調講演には、「30年の歩行ロボット研究から誕生した無動力歩行支援機」についての講演では、歩行について物理学的な知見が新たに学ぶことが出来ました。教育講演Ⅰでは「歩行障害をきたす脊椎疾患」について、教育講演Ⅱでは、から「高齢者と栄養について」、それぞれ臨床の立場からのお話を頂くことができ、質疑を含めて大変有意義な講演となりました。


2)一般口述発表の様子
 開会・大会長挨拶に続き、8時45分より一般口述演題Ⅰ6演題(座長:静岡理工科大学富田教授)に引き続き、一般口述演題Ⅱ6演題(座長:東海学園大学森教授)の発表が行われました。発表内容はバイオメカニクス、運動生理学といった自然・応用科学的な内容だけにとらわれず、不全脊髄損傷者の歩行獲得や新聞記事の内容分析によるウォーキングの社会的実践の多様化についての報告、文献的考察など多岐にわたり、あらためてウォーキングに関する知見を深める機会となりました。


3)ポスター発表の様子
 昼食休憩の後、ポスター発表ⅠおよびⅡとして合計11演題の発表が行われました。演題は、大学教員、院生、リハビリテーション科の職員と多様な分
野からの発表もあり、また質疑も盛んに行われていました。また、一般参加されていた方からの質問もあり、有意義な意見交換の場となっておりました。


4)その他 学会全般に参加/ 運営した感想など
 今学会大会より学会事務局(大会事務局とは異なる)が、静岡大学杉山康司先生を中心に、静岡理工科大学富田先生、静岡大学祝原先生と私(順天堂大学:辻川)で運営することとなり、初回の大会となりました。学会大会自体の運営は、下関リハビリテーション病院の石田事務長を中心にたくさんのスタッフの皆さんが協力してくださっており、スムーズに実施されていたと感じました。第23回大会は長野県野沢温泉村、第24回は静岡県(開催場所未定)での実施となります。ウォーキングすることで、心身共に健康になることは、周知の通りですが、本学会はそのための学術的な集約を行う場、そして一般社会と乖離することなく、貢献できる学会として今後も運営していきたいと思います。


5)記念ウォーキング大会/ 学会推奨ウォーキング大会開催報告
 『関門海峡しおかぜウォーク』が学会翌日の14日㈰、9:00 ~ 12:00に実施された。下関看護リハビリテーション学校に集合した後、学会大会会場であった海峡メッセ下関前のスペースまで移動して、柳本先生の楽しい準備体操が行われました。大きく2グループ編成で再出発し、唐戸市場にて参加者全員での記念写真を撮りました。健脚なグループと速度に自信のないグループで分けつつ、先に進みます。関門トンネル人道を通り、北九州門司へ。関門海峡の潮の流れはまるで川のようで、参加者の皆さんは一同驚いていました。トンネル人道は、全長780m あるため、なかなかのウォーキングコースといえます。下関リハビリテーション病院からの距離は片道で5.3㎞(Googlemap)、帰りは唐戸市場で解散のため10㎞の下関行脚となりました。野沢温泉では水平移動ではなく、アップダウンのあるウォーキングコースがあるのでしょうか? 楽しみです。


文責:順天堂大学保健看護学部 辻川比呂斗