日本ウォーキング学会大会 24回大会(Web大会)報告

報告者 学会事務局:杉山康司(静岡大学)

  1. Web大会開催の経緯

令和2年度(2020年度)は歴史に残るコロナウィルスのパンデミックにより世界レベルで経済は滞り、予定されていたイベント活動が中止となりました。2020東京オリンピックの中止はその象徴でもあり令和2年4月の時点で我が国におけるスポーツイベントはことごとく中止、見合わせ延期となりました。日本ウォーキング学会に所属の皆様からも方々でウォーキングイベントの中止や学会活動の見直しが聞こえてきました。日本ウォーキング学会では第24回大会を三島市順天堂大学において開催の準備を進めてまいりましたが急遽見直しを余儀なくさせられる状況でした。このような状況の中で本学会が幸いしたのは学会副会長の富田寿人先生(静岡理工科大学)によって令和元年度からホームページのリニューアル作業が行われ、4月に完成公開をしたことでありました。

24回大会をどうするかといった緊急の議題について方針を決め、会員の皆様にご案内しなければならないという一刻の猶予もい状況において4月3日に事務局担当者(杉山、富田先生、辻川先生(順天堂大学)、祝原先生(静岡大学))および会長の柳本先生(神戸常盤大学)とリモート会議などを行いつつ意見交換し、ホームページにリンクしたWeb大会の開催を行うこととなりました。本学会はもちろんほとんど全ての学会がWeb大会を経験したことがないという中で我々もできるだけ沢山の方が参加でき、発表者、参加者が満足いくディスカッションと情報交換ができるように配慮した大会運営を考える必要がありました。

  • 大会開催スケジュール

テキスト ボックス: Web大会について
公開期間:令和2年8月3日(月)~8月31日(月)
発表研究を訪問した方で質問がある場合には質問の入力したのちに所属とお名前をお願いします。
学会賞について:本大会の演題については令和3年度第25回大会の学会賞候補リストに加えます。
•	質問・意見:8月3日(月)~8月25日(火)まで(抄録URLにアクセスしていただいて各発表者の掲示板に質問を書き込んでください。期間中は何回でも書き込み出来ます。発表者から回答が書き込まれます。書き込まれた内容はその後にアクセスした方誰にでも公開されます。
•	発表者からの回答:発表者の回答については公開日から8月28日(金)までとします。期間中何回でも書き込みついて回答できます。
本学会の通常の会期は2日間でありましたが、Web大会は参加者の都合に合わせて閲覧できることで十分な情報交換をしていただけるのではないかと、当初は7月1日(水)~8月31日(月)(一般発表受付締切については6月19日(金))までの掲載を予定してみました。しかしながら、掲載にあたり様々な準備不足に直面し、学会員の皆様には多大なご迷惑をおかけしたかと思いますが、スケジュール等について大きく変更しました。実際に準備ができたのは8月初旬であり、何とか大会開催にこぎつけました。これも富田先生のご尽力と感謝申し上げます。実際のスケジュールや学会大会での取り決めについては8月2日に学会員の皆様方に配信したものですがその内容は以下の通りです。

  • 公開されたHP表紙(図1、図2)

公開に際し、発表者の著作権や不特定多数の侵入を防ぐようにホームページ上の表記やパスワードを設定し、演題まで閲覧するには学会員にのみとした。また、予め、学会員全員にパスワードと抄録集を送らせていただきました。

  • 一般演題数と閲覧総数

テキスト ボックス: 表1発表題目と閲覧数(アクセス回数)
 
24回大会での一般発表者のエントリー数は9演題であった。通常の学会時のエントリー数と比べれば少ないが、初めてのWeb大会の試みであり、コロナ禍での研究発表エントリーという実情と本学会の会員数(電子媒体での会員は100名程度)を考慮すれば大会開催の価値はあったのではないかと思われます。閲覧エントリー数は延べ1020回で演題毎にみれば最大167回、最小で87階の閲覧回数が記録されました。閲覧回数が多く記録されたのは会員の関心の高さと、研究発表公開期間が約1か月と閲覧と質問などの意見交換に十分なゆとりがあったことが窺えます。実際に閲覧をして質問をする準備をする際も発表データを確認しながら質問を書き込める点は閲覧者の立場として参加しやすい方法であったと思われました。さらに、公開期間中の質疑応答の様子をみると、発表者側には閲覧者が質問を入力した場合にメールにて質問が入ったことをお知らせする機能を設けていたことで、活発な意見交換の場となったように思われました。

  • 大会を終えて

今年度は緊急事態でのWeb大会であり、十分な経験がない中での開催であったが、いくつかの収穫を得た大会でもありました。一つ目は本学会で開催した発表者と参加者との意見交換の期間が数日ではなく、ある程度の期間があることで活発な意見交換とその様子を閲覧する方の増加による閲覧回数を増やすことが可能である点です。また、二つ目はこの大会を通して学会員の多くの方が参加できるという点です。通常の2日間の会期では学会員内での参加者は40名前後といったところですが、ホームページを利用することで少しでも大会に参加する機会を作ることが可能となりました。一方、今大会は富田先生の関係で理工科大学のスタッフの皆さんにHPでの開催について多大なご協力をいただきました。大会開催に関わる作業運営費については人件費も含めもろもろ10万円程度の支出が発生しました(かなり安く手配していただきました。)。この費用などもカバーすることができるように会員の皆様が活発に参加いただけることや実際に費用がかかることの認識が大切であることも分かったことです。

今大会を終え、Web大会のメリットを今後につなげてはどうかという意見が出されました。一つは遠隔での参加ができる参加費を設定して会場に集めれない方でもある程度の学会の情報交換に参加できる方法があるのではないかということです。また、非会員の方にも学会の良さを知ってもらうために参加を募る方法や案内を積極的に整備するということも挙げられました。R3年度順天堂大学保健看護学部(三島市)での開催に向け、ZOOMなどの利用によるオンラインシンポジウムの企画なども検討出来たらよいのではないかという前向きな意見も聞くことができました。9月に諮問委員の先生方に審議させていただきましたが、今年度12月ころから次年度6月にかけて辻川先生中心でオンラインシンポジウム等の企画を配信についても今後の学会企画運営に大きくかかわる経験となると思い今後の期待とともにこの報告を終わりたいと思います。

最後に、参加されました会員の皆様、発表いただきました皆様、運営に関わりました全ての方々に感謝申し上げます。

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